【朗報】午前2時に過去の自分からラジオ通話、10年越しの未送信メッセージが動き出す
古いラジオから聞こえてきたのは、10年前の自分の声。文化祭前夜、出せなかった手紙、絶縁した友人Kへと繋がっていく深夜スレが、最後まで静かに刺さる展開に。
SSっぽく書く。
仕事帰りに古いラジオをつけたら、聞き覚えのある声が『春は嫌いだ』って言ってた。
それが高校時代の俺の声だったところから始める。
声はそのまま続いた。
『文化祭の前の日って、なんで学校が違う場所みたいに見えるんだろうな』
って。
俺、そこでラジオの前に座り込んだ。文化祭前夜のことなんか、しばらく思い出してなかった。
で、声が急に小さくなった。
『明日、渡せなかったら、たぶん一生渡せない』
って言った。
そこで俺はようやく思い出した。手紙だ。文化祭の前日に書いて、結局出せなかった手紙。
アンテナは伸ばした。
でもノイズは消えない。
むしろおかしかったのは、そのザーって音の奥に、今の俺の部屋の音が混じったことだった。
さっき脱いだ上着が椅子から落ちる音が、ラジオの中でも鳴った。
声が続いた。
『明日って言っても、俺にとっての明日な。お前にとっては、今日だ』
それから、今日の日付を言った。
2026年4月23日。
俺、ラジオの前で固まった。
声が言った。
『なあ、まだ春が嫌いか』
俺は答えなかった。
そしたら『嫌いってことにしてるだけだろ』って。
喉が詰まった。
Kの連絡先は残ってる。
LINEも多分そのまま。
でも最後の会話が十年前の『もういい』なんだよ。
送信欄に『久しぶり』って打って、まだ送れてない。
送った。
『夜中にごめん。急に昔のこと思い出した。明日少し話せないか』って。
送信押した瞬間、手がめちゃくちゃ震えた。
Kから返ってきた。
『聞いてた』
それだけ。
通話は五分くらいで終わった。
最後にKが『卵焼き、今も甘いの好き?』って聞いた。
俺は『春っぽい味するからな』って言った。
Kは少し黙ってから、『意味わかるじゃん』って笑った。
>>129
根拠はない。
ただ、雑音の向こうでまた俺の声がした。
『春は嫌いだ』
今度は怖くなかった。
俺はラジオに向かって、普通に言った。
『嫌いでもいいけど、終わりだけじゃなかったぞ』
それを言ったあと、ラジオの雑音が少し大きくなった。
ザー、ザー、って波みたいで、もう何も聞こえないと思った。
最後に一瞬だけ、声みたいなのが混ざった。
『泣いた』って聞こえた。
たぶん雑音だと思う。
でも俺は、そういうことにして電源を切った。