【泣ける】深夜コンビニで未来の自分に会った結果、缶コーヒーより重い忠告を食らう
春の雨の深夜コンビニで、傘を忘れた1が出会ったのは“十年後の自分”らしき男。嘘松扱いから始まったスレは、母親への電話一本で一気に空気が変わっていく。
眠れないからSS投下する。春の雨の日、傘を忘れた俺がコンビニで見たのは、十年後っぽい俺だった。
>>16
目が合った瞬間、向こうが先に笑った。
俺がよくやる、片方だけ口角上がる嫌な笑い方。
で、右手で缶コーヒー持ってた。黒いやつ。
近づいたら、向こうが左手の親指を見せてきた。
小学生の時にカッターで切った傷。白く残ってるやつ。
俺の左手にも同じ形である。
そこで声出なくなった。
未来の俺はレジの方見ながら
「毎日を変えたかったのに、毎日を片付けるだけで終わる」
って言った。
それが説教っぽくなくて、ただ疲れてる人の独り言だった。
未来の俺は缶コーヒーを俺に差し出して、
「買うなとは言わない。ただ、これ飲んで起きてる夜に、何を後回しにしたか覚えとけ」
って言った。
未来の俺は俺のスマホを見て、急に言った。
「お母さんに電話しろ」
俺が黙ってたら、
「明日でいい、って思ってるだろ。十年後も同じこと言ってる」
って。
俺が「なんで今なんだよ」って聞いた。
未来の俺は笑わなかった。
「電話できるうちは、理由なんか要らない」
って言った。
その瞬間だけ店内の冷蔵ケースの音がやけにでかかった。
未来の俺はレジに向かった。
店員が無言でバーコード読んで、レシート渡した。
俺はなぜかそれを横から見てしまった。
日付が、2036年4月18日だった。
俺もレシートをもらおうとした。
でも未来の俺はそれをすぐ握り潰してポケットに入れた。
「証拠にすると、お前は電話しない理由にする」
って言った。
俺はその場で母親に電話した。
深夜一時半だったから出るわけないと思った。
でも三回目のコールで出て、最初の一言が
「あんた、傘持ってるの」
だった。
母親はそのあと、
「最近ちゃんと食べてるの」
「仕事は無理してないの」
「雨強いならタクシー使いなさい」
って一気に言った。
俺は未来の俺を見ながら、全部に「うん」って答えてた。
未来の俺は、笑ったまま泣きそうな顔になってた。
電話を切る前に、母親が
「傘ないならコンビニで買いなさい」
って言った。
俺は傘立ての一本を見た。
未来の俺が首を横に振ったから、買う方にした。
レジ横のビニール傘、六百円くらいした。
傘を買って袋を開けてたら、未来の俺が言った。
「今日は帰って寝ろ」
俺が「それだけ?」って聞いたら、
「それが一番できなかった」
って返ってきた。
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