【恐怖】夏イベ原稿を入稿しただけなのに、未来の自分が部屋に居座った件
締切前の修羅場に現れた「未来の俺」。最初は同人あるあるのネタかと思いきや、原稿の空白が部屋と時間を侵食していくガチ怪談スレに発展した。
1 名無しさん@お腹いっぱい。
SS形式で書く。未来の俺は開口一番、お前はその構図を三日前にも描いたと言った。
26 名無しさん@お腹いっぱい。
>>1
俺「お前、未来から来たなら今のネーム見て何ページか言えよ」
未来俺「今は28ページ。五分後に32ページになる」
俺が束を数えたら、たしかに28ページだった。
笑おうとした瞬間、机の下から紙が四枚ずれ落ちた。
31 名無しさん@お腹いっぱい。
俺「増えた四枚、俺描いてないぞ」
未来俺「描いた。三日前に」
俺「三日前はラフしか」
未来俺「そのラフを今のお前が清書した。だから次は台詞を消せ」
ネームを見ると、吹き出しだけが黒く塗りつぶされていた。
36 名無しさん@お腹いっぱい。
俺は言われた通り、黒くなった吹き出しを消しゴムでこすった。
未来俺が俺の手元を見ずに言った。
未来俺「その台詞、まだ書くな。『間に合ったら』って書くな」
俺はシャーペンを止めた。
ちょうど今、その七文字を書こうとしていた。
48 名無しさん@お腹いっぱい。
俺「電池切れか?」
未来俺「違う。三日前の電池だ」
俺「電池に三日前とかあるかよ」
未来俺は壁を指した。
カレンダーの今日だけ、紙の端がめくれていた。
めくれた下に、三日前の日付がもう一枚あった。
53 名無しさん@お腹いっぱい。
未来俺「あと二ページ削れ」
俺「増えたのに削るのか」
未来俺「増えた分は空白だ。そこにお前が入る」
ネーム束をめくると、32ページ目のコマ枠だけが妙に広かった。
机の奥行きより、そのコマの方が深く見えた。
73 名無しさん@お腹いっぱい。
未来俺が俺の後ろに立っている。
でも原稿の部屋には、俺しか描かれていない。
椅子の背も、積んだ本も、カーテンの皺もある。
未来俺だけ、影ごとない。
86 名無しさん@お腹いっぱい。
最終ページを開いた。
白紙だった。
なのに白紙の中央だけ、息をしているみたいに膨らんで戻る。
未来俺「そこに俺を描くな」
93 名無しさん@お腹いっぱい。
未来俺の声が少し遅れて聞こえる。
口は閉じてるのに、三秒後に言葉だけ来る。
未来俺「俺はお前が飛ばしたコマだ」
未来俺「白く残したまま入稿した」
99 名無しさん@お腹いっぱい。
白紙に鉛筆を近づけた。
未来俺が初めて俺の手を掴んだ。
冷たいと思ったが違う。
触ったところだけ、消しゴムをかけたみたいに俺の指の線が薄くなった。
120 名無しさん@お腹いっぱい。
送信ボタンを押した。
バーが100%になった。
入稿完了のメールが来た。
俺「終わった」
未来俺「終わったな」
140 名無しさん@お腹いっぱい。
入稿完了メールをもう一度開いた。
添付サムネの最終ページが変わっていた。
俺の部屋。
押し入れの前に座る未来俺。
その隣に、まだ誰もいない白い余白。
押し入れの奥で、紙が一枚落ちた。
三日前の原稿の最後に挟まっていたメモだった。
そこには俺の字で、こう書いてあった。
「入稿したら、押し入れを見るな」
155 名無しさん@お腹いっぱい。
入稿完了メールの時刻が変わってた。送信時刻は今朝のはずなのに、三日前の04:00になってる。添付ファイル名の末尾に_blankって増えてた。
164 名無しさん@お腹いっぱい。
読んだ。
癖の強い字で、こう書いてある。
「次は、空白を描くな」