【悲報】深夜コンビニの冷房、社畜の疲労を燃料にしていた模様www
終電を逃した社畜が逃げ込んだコンビニで出会ったのは、影のない店員と“優しすぎる冷房”。怪談として怖いのに、途中からリモコン温度スレになる深夜テンションが最高すぎる。
社畜の俺、終電逃してコンビニに避難。そこで明らかに人間じゃない店員に『お疲れ様です』って言われたところから始まる話を書く。
店員は、制服を着ていた。
名札は裏返っていた。
顔は見えた。
見えたが、目の位置が少し低かった。
俺が雑誌棚の前を通ると、冷蔵棚のガラスに俺の影が映った。
店員の影は映らなかった。
言われてえw
人外でもいいから言われてえw
棚の配置がおかしかった。
弁当の棚には弁当がなかった。
おにぎりの棚にはおにぎりがなかった。
そこには小さな紙が並んでいた。
帰る理由
体調不良
家族の用事
電車遅延
今日は無理です
そう印字されていた。
レシートには商品名がなかった。
合計もなかった。
かわりに、こう書かれていた。
残業時間 4時間37分
未申請 1件
未読メール 18件
睡眠不足 継続中
俺は店員の足元を見た。
靴はあった。
黒いスニーカーだった。
ただ、床に接していなかった。
靴底と床の間に、レシート一枚分くらいの隙間があった。
店員は浮いているというより、冷房に支えられていた。
店内放送が流れた。
声はなかった。
メロディだけだった。
そのメロディに合わせて、棚のレシートが少し揺れた。
帰る理由の棚。
謝る文面の棚。
明日やりますの棚。
奥には、辞めますの棚があった。
そこだけ、冷房が当たっていなかった。
俺は店員の名札を見た。
霜がついていて読めなかった。
ただ、名札の端に小さく印字があった。
研修中。
その下に、うっすらと日付が見えた。
平成二十二年だった。
店員はレジ横の小さな箱を開けた。
中には、色の抜けた社員証が何枚も入っていた。
写真だけが残っていた。
名前は、どれも白く消えていた。
「休むと、軽くなります」
店員は言った。
「軽くなりすぎると、戻れません」
俺は店員に聞いた。
「電気で動いてないんですか」
店員は首を横に振った。
吊られたものが、また風でずれた。
「お客様のお疲れで動いております」
レジの奥で、室外機のようなものが震えた。
そこから、人のため息に似た音がした。
店員が言った。
「全部預けると、楽になります」
俺は聞いた。
「全部って、何を」
店員はレジの奥を見た。
そこには、白い棚があった。
帰る理由の棚より奥。
辞めますの棚より、さらに奥。
名前の棚だった。
俺が振り返ると、店員はレシートを差し出していた。
さっきのものとは違った。
白い紙に、青い文字で印字されていた。
有給休暇 一日分。
使用期限 本日限り。
理由欄には、何も書かれていなかった。
>>116
違う。
最後に店員が言ったのは、たぶん、こうだった。
またお疲れの時は。
そこで信号が青になった。
俺は歩き出した。
ここまでが1話目