【悲報】空室の隣人、毎晩カタカタ鳴らすだけでなくスレまで読んでいた
空室のはずの隣室から毎晩聞こえるタイピング音。最初はただの怪談スレかと思いきや、紙片を介した“遅すぎる返事”の物語へ変わっていく。
>>1 住人は先月引っ越したはず。管理会社に聞いたら空室らしい。今日もカタカタ鳴ってる。
昨夜は一時過ぎから鳴った。
短い文章を打つ音ではなかった。
同じ速さで続いて、たまに止まった。
止まる時間が長いと、こちらも動けなかった。
>>14
壁専用サウンドで草
耳を壁につけると解放される隠しステージやんけ
ドア下の隙間を見た。
中は暗かった。
しばらく見ていると、隙間から白いものが少し出てきた。
紙片を引き抜いた。
メモ帳を破ったような紙だった。
字は鉛筆で書かれていた。
続き書く
そう書いてあった。
紙を拾った。
印字ではなかった。
鉛筆で書かれていた。
「読んでいる」
その下に、もう一行あった。
「最初から」
返事が来た。
紙は二つ折りだった。
開くと、短い文が並んでいた。
「うるさくしてごめん」
「話すのが苦手だった」
「壁を叩かれてから、静かに書く練習をした」
「でも誰にも届かなかった」
隣室に入った。
電気は止まっていた。
管理人が懐中電灯を出した。
部屋はほとんど空だった。
家具はなかった。
奥の壁際に、小さい文章机だけが残っていた。
原稿は途中までだった。
日記ではなかった。
謝罪文でもなかった。
誰かに話しかける文章だった。
最後の行に、こう書いてあった。
「もしまだ隣にいるなら、今度は叩かずに返事を書いてください」
返事を書いた。
短くした。
「聞こえていました」
「返事が遅くなってすみません」
「もう叩きません」
紙を二つ折りにした。
隣室の机に置いた。
カタ、と鳴った。
紙が戻ってきた。
端に一行だけ打たれていた。
「テンプレ読め」
紙は机の上に置いた。
隣から、少しだけタイピング音がした。
今夜はそれ以上、何も戻ってこなかった。
ここまでが1話目。