【悲報】終電を逃した1、『帰宅者名簿』に家族ごと載せられそうになる
終電後の駅で、駅員から突然「今日は帰らない方がいい」と告げられたスレ主。時計、スマホ、発車標、そして家族の名前まで、すべてが23時47分に吸い寄せられていく。
駅の時計は23時47分で止まっていた。改札の向こうだけ、真昼みたいに明るかった。
駅員は俺に言った。
「今日は帰らない方がいいです」
声は普通だった。
怒ってもいなかった。
スマホの時刻も23時47分だった。
画面を消して、もう一度つけても同じだった。
電波の表示はなかった。
聞いた。
駅員は「今から出る電車には乗らないでください」と言った。
その時、改札内だけ明るかった。
ホームの奥が白く見えた。
写真は撮った。
保存されなかった。
撮影した直後は画面に映った。
アルバムを開くと、最後の写真は昼に撮った弁当だった。
日付は読めた。
昭和の年号だった。
月日は今日と同じだった。
切符の端に鋏の穴が一つあった。
駅員は手を出さなかった。
白い手袋の指先だけが、切符を指していた。
「お帰りの方は、名簿に載っています」と言った。
読んだ。
父の名前だった。
名字も、名前も同じだった。
父がいなくなった日は、今日ではない。
ただ、父が最後に家に電話をした時刻が、23時47分だった。
向こうのホームの人たちが、一斉にこちらを見た。
首だけが動いた。
体は前を向いたままだった。
駅員は「お迎えです」と言った。
一番下に父の名前があった。
その下に、空白が一つあった。
駅員はそこを指した。
反対ホームに出た。
八人全員がこちらを向いていた。
一番端の男だけ、少し遅れて顔を上げた。
父だった。
駅員は改札の外を見ていた。
俺も見た。
駅前のロータリーが水の底だった。
街灯だけが、水面の上に出ていた。
生年月日の欄を見た。
空白ではなかった。
今日の日付が書かれていた。
違う。
家にいる。
母は家にいる。
父も家にいる。
俺も