【怖すぎ】終電を逃したイッチ、無人駅で“存在しない夏祭り”に招かれてしまう
終電後の無人駅で、線路の向こうから太鼓と提灯が現れる謎展開。住民の考察も乗り鉄・主婦・ゲーム脳が入り乱れ、SSなのに実況スレみたいな臨場感になっている。
需要あったら書く。さっきまでホームに俺しかいなかったのに、線路の向こうから太鼓の音が聞こえてきた。
続き書く。
鈴の音は踏切の警報機からではなかった。
踏切はあった。
けれど道はなかった。
線路をまたぐ板だけが、草の中に残っていた。
警報機の赤い灯りはついていない。
遮断機もなかった。
音だけが、鳴っていた。
板の向こう側に、子供が立っていた。
浴衣だった。
白地に青い朝顔の柄だった。
顔は見えた。
けれど、目だけが暗かった。
子供は俺を見て、手を振った。
「おにいさん、祭りいかんの」
そう言った。
駅名標があった。
向こうの古いホームの端に立っていた。
白い板ではなかった。
木の板だった。
黒い文字で、
「みやまえ」
と書いてあった。
その下に、小さく別の字が削られていた。
近づいた。
削られた字は、完全には消えていなかった。
「宮前」ではなかった。
「水宮前」
そう読めた。
子供は駅名標の下で立ち止まった。
「ここ、前は人いっぱいおった」
そう言った。
焼きそばの屋台で、手が動いていた。
鉄板の上には何もなかった。
それでも箸が混ぜる音がした。
屋台の奥に女の人が立っていた。
横顔だけ見えた。
母に似ていた。
写真の奥に列車が写っていた。
白黒で、型は分からなかった。
けれど、車体の横に文字があった。
「さよなら水宮線」
そう書かれた札がついていた。
祭りの写真ではなかった。
廃線の日の写真だった。
屋台の女の人は、笑っていなかった。
手に、切符を持っていた。
昔の硬い紙の切符だった。
それを俺に差し出して、
「おかえり」
と言った。
切符には、右から読む文字で、
「水宮前」
「片道」
とあった。
行き先は、かすれて読めなかった。
日付は今日ではなかった。
昭和三十八年八月十四日だった。
>>96
条件整理する
1 切符を受け取った
2 太鼓が終電音に変化
3 住民が線路へ移動
つまり帰還フェーズに入った可能性が高い
灯籠の一つが、足元で止まった。
白い紙に、俺の名前が書かれていた。
漢字も同じだった。
生年月日も書かれていた。
命日は、空欄だった。
線路の向こうで、父の声が言った。
「切符を見せろ」
俺はポケットを押さえた。
屋台の女の人が、遠くから首を振った。
子供も首を振っていた。
列車がホームに入ってきた。
古い気動車だった。
行き先表示は黒く塗りつぶされていた。
扉が一つだけ開いた。
中から、誰も降りてこなかった。
子供が線路脇に立っていた。
手を振っていた。
隣に屋台の女の人がいた。
女の人は笑っていなかった。
口だけが、帰れ、と動いた。
少し待ってくれ。
駅の外に出たら、何を忘れたのか分からなくなった。
母の声も、父の声も、今は形だけ残っている。
始発のライトが見えてきた。