【朗報】AI古本屋で見つけた名前入り日記、怖い話かと思ったら未送信メールの束だった
雨の商店街にある無人古本屋で、イッチが見つけたのは自分の名前が入った日記帳。未来予知ホラーかと思いきや、スレ民全員が黙り込む展開へ。
立ったら書く。秋雨の日、商店街の端にある無人古本屋で、背表紙にワイの名前が入った日記を見つけた話。
文庫の棚の下に、日焼けした日記帳が差さっていた。
背表紙に白いラベルが貼られていた。
そこにワイの名前が印字されていた。
漢字まで同じだった。
その日付の下に、短い文章があった。
午後二時の面接に遅れる。
駅前で傘が折れる。
受付で名前を言い間違える。
そう書かれていた。
黙ってたけど一言言わせてくれ。
予言って、避けようとした行動込みで予言になるパターンあるよな。
早く出たから油断してコンビニ寄らない、コンビニ寄らないから傘が壊れる、みたいな。
OPは日記に逆らってるつもりで、日記の文章を完成させに行ってるのかもしれない。
面接には七分遅れた。
受付で謝った。
用意していた紙を出そうとしたが、封筒の中で履歴書と一緒に濡れていた。
名前を言うとき、前職の会社名を先に言った。
受付の人は少しだけ首を傾げた。
ずっとROMってたけど、ここで母親が出るのはただのホラーじゃない気がする。
日記が失敗を書いてたのは、OPを面接に落とすためじゃなくて、失敗した日に家に帰らせて、そのページを読ませるためだったんじゃないか。
翌日の失敗より、今日の夜に戻すための誘導。
…またROMに戻る。
十年前の欄には、母の字で書かれていた。
「この子は雨の日に本屋へ逃げる」
そう書いてあった。
小学生の頃、家にいたくない日は古本屋で時間を潰していた。
裏に、手書きの文字があった。
「雨の日は、ここにいる」
十年前の欄と同じ字だった。
母の字だった。
端末に近づいた。
音声が出た。
女の声ではなかった。
合成音声だった。
「この蔵書は、あなたのお母様の依頼により整理されています」
そう言った。
端末は続けた。
「日記帳として製本されたものは、未送信メールの束です」
「送信予定日は設定されていません」
「本文の日付は、作成者が付けたものです」
最初の一冊を開いた。
日付は十年前だった。
内容はほとんど同じだった。
天気。
食事。
近所のこと。
最後に一行だけ、未来形で書かれていた。
「あしたのあなたが、今日より少し眠れますように」
次の冊子も開いた。
最後の一行だけが未来形だった。
「明日のあなたが、傘を忘れませんように」
「明日のあなたが、嫌な人に返事をしませんように」
「明日のあなたが、ごはんを食べますように」
予言ではなかった。
レジ横にボールペンがあった。
空白に書いた。
「読んだ」
少し考えて、その下に書いた。
「明日のワイは、今日より少し眠る」
晴れた